有機材料はその分子設計の自由度を生かした新しいデバイスへの展開が期待されています。特に近年では、有機ELの実用化により、有機エレクトロニクスの研究開発が材料・プロセス・デバイス物性・実装技術の側面から大きく加速し、有機エレクトロニクスの新しい平地が開拓されました。しかしながら、有機材料特有のデバイス劣化の問題など、未だ、基礎的な視点から乗り越えなければならない課題が山積しています。一方で、分子設計の高度化は留まることなく進歩しており、新しい機能素子・集積デバイス・バイオ系デバイスへの展開が今後急速に進み、新しいアプリケーションの創出に繋がると期待されます。有機エレクトロニクスの研究分野は、次の5年間、10年間、50年間を見据えた研究開発が必要であり、そのためには、大学・官公庁研究所・民間企業の研究機関の異なった視点からの情報交換、交流が益々重要になっています。JOEMの活動において、日本国内の研究者が集結し、次の研究開発を促進し、産業形成や新しい学問領域の開拓に繋ることを期待しています。
JOEM 会長 安達 千波矢